従順なお嫁さんに憧れて

従順なお嫁さんに憧れて

私の実家は父親が公務員という堅い職業だったこともあり、友人知人の家庭と比べても古風な方だと思う。昔ながらの家族といった感じで父親が1番偉く、母親は貞淑な妻というイメージにぴったりだ。いつも難しい顔をして食卓に座り、父が食事を始めるまでは、子どもたちも食卓に手をつけてはいけないというルールがあった。父に遊んでもらったり一緒にお風呂に入ったこともなく、小さい頃はお父さんを怖い人だと思っていた。しかし、行事などで両親が学校を訪れると、私の両親は他の子の親より威厳があり上品に見え、そんな両親を誇らしいと感じていた。私が成長してそれなりに話ができるようになると、父との距離も子どもの頃よりずいぶんと近くなり、不器用なりに私たちに愛情を注いでくれる誠実な人だとわかってからは、母と同じくらい父の子とも大好きになれた。父と母が理想の夫婦像で、従順なお嫁さんに憧れていた。

ところが今はどうだろう。私の後ろのキッチンで明日の朝食べるお米を研いでいるのは夫だ。頼んでおいた紙おむつを、買うのを忘れてしまった罰のお風呂掃除もこのあと残っている。鼻歌混じりでお米を研ぎ、騒ぐ子どもたちを小声でたしなめるが、子どもたちはパパの言うことなんて聞きやしない。イライラして私が一喝すると、やっと子どもたちもおとなしくなった。すごいね、ママの一言は利くね。夫はニコニコ笑っているけれど、こんなハズではなかったのだ。

父のように誠実な夫ではあるが、夫だけに任せていたら、子どもたちのしつけがいい加減になってしまう。私が自分の父のように子どもたちに厳しくしようとしているうちに、夫が従順なお嫁さんのようになってしまった。